斬新な作風と日用の器 二つの顔を持つ 笠間焼

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斬新な作風と日用の器 二つの顔を持つ 笠間焼

笠間焼と聞くとピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
昔はどこの家庭にもあった梅干しを付ける壺やゴマなどを擂る擂り鉢と言えば、あー、あれかとお分かりになるでしょう。
笠間焼はそんな身近すぎるほどの日用使いの器の産地として江戸時代から知られておりました。

【笠間焼の歴史】

所在地は現在の茨城県笠間市、水戸市の西隣り辺りです。
始まりは、江戸時代 安永年間(1772-80)に箱田村(現在の笠間市箱田)の久野半右衛門が信楽の陶工・長右衛門の指導により開窯したと言われています。
笠間藩の奨励も後押しをし、窯が増えてまいりました。
明治の頃、笠間には19の窯元を擁するる厨房用粗陶器の産地としてございました。

しかし、終戦後、プラスチック製品などの流入により生活の柄が大きく変化。
百数十年におよび関東-の歴史を誇る笠間焼の地も、陶器需要の減少には勝てず今までにないない危機に直面してしたのでございます。

危機感を持った関係者の予想を上回る熱意によって、茨城県窯業指導所が昭和25年に設けられ、復興の大きなきっかけとなったのでした。
厨房用粗陶器から工芸陶器への転換を図り、釉薬の改良や原料となる粘土の研究と試行錯誤、または陶工の養成などが交を奏し、現在の笠間焼とその隆盛を振り返るに、大英断だったと言えるでしょう。
機能性と美しさを取り入れた工芸陶器は少しずつ様相を変え、笠間焼は現代に残る工芸品になりました。
【笠間焼の特徴】

笠間焼の特徴は、一つは粘土にございます。
笠間粘土は、筑波山より笠間地区にかけて産出する花崗岩が風化・堆積して生まれた粘土です。
この粘土は粘りがあり、細かい粒子の粘土で作られる笠間焼は丈夫で汚れに強く、成形がしやすい上にく、鉄を含むため焼成後には有色となるため使うごとに味わいが出るのが特徴です。
この粘土を用いた焼き物が、縄文器から現在まで脈々と受け継がれています。

もう一つの特徴は、江戸以来の伝統を保持しながらも、それに捕らわれない自由な作風にあります。
0006.笠間焼2

以前は甕やすり鉢などの厨房用陶器が主だった笠間焼ですが、現在では伝統的な笠間焼を守る一方、地元以外にも日本各地から陶芸家を目指す若い作家が集まり、古い伝統だけにとらわれない新しい作品、新しい笠間焼を生み出しています。
元々粘りが強い粘土が特徴です。
大量生産よりも手作りに向いており、多種類の器が作られる素地があったのでした。
昭和40年代には100にも満たなかった窯元ですが、現在では200近くまで増え、作風を競い合いながら作品を輩出しています。
笠間に行けば必ず好みの器が見つかると言われているのはそれだけ多彩な作品がそろっている証拠でしょう。
0006.笠間焼3

日本はもとより近年では海外でも高い評価を獲得。
時代を超えて土を慈しむ心、絶え間ない研究心、そして何より創造することの喜びの結実でございましょう。

参考文献
『やきものの事典』/成美道出版
『やきもの全国有名窯場』/南大路豊/株式会社西東社
『やきものの基礎知識』/前山博志/株式会社学習研究社
『やきものの旅「東日本」』/安藤典子/日本写真印刷株式会社
『やきものの旅「西日本」』//日本写真印刷株式会社
『中島誠之助のやきもの鑑定』/中島誠之助/株式会社双葉社

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