現代の社会問題に作家・畠山健二がコミカルに切り込む スプラッシュマンション

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現代の社会問題に作家・畠山健二がコミカルに切り込む スプラッシュマンション

少子高齢化社会の対策としてコンパクトシティにおけるあるべき住宅のカタチ「マンション」
そのマンションに住むとなると様々な問題が発生します。
住民同志の問題の他に、時々取りざたされるマンション管理。
この問題は他人ごとではないのかもしれません。

マンションの管理会社と理事長の不正を暴くオヤジ3人組。
管理組合の理事や理事長は通常輪番制なので、マンションにお住まいの方はいずれその役を仰せつかることになる事でしょう。
概ねひと月に一度の理事会と、年に1回の住民全員の総会において、そのマンションの管理の内容が決定されます。
その中には大事な修繕積立金からの支出や管理会社との契約内容も議題として取り扱われるのです。

お金が伴うコト。
ここに問題発生の温床がございます。

気鋭の作家・畠山健二氏の独特の作風でコミカルながらも鋭く切り込んでいますね。

文章表現やストーリの面白さに、長編小説ながらもサクッと読めてしまうがため、ただのコメディータッチで書かれた小説と思うなかれ。
不動産業、マンション管理業に根深く潜む問題を提起した社会派の小説でございます。
専門家から見たら、かなり精通していないと表現できない箇所も多々見受けられます。

またある意味、下町のマンションを舞台にした人情小説とでも言いましょうか。
酒・女・グルメの要素が上手くストーリーの中に取り込まれ、ソープ嬢や謎の男まで登場。
畠山氏の持つ文化や感性が随所に見られます。

この畠山氏。著書には注目の時代小説「本所おけら長屋」がございます。
下町本所の長屋を舞台とした人情話。
毎日起きるドタバタ騒動を住民の万造・松吉がバカバカしくも一生懸命に解決して最後はちとほろりとさせ、めでたしで終わります。

さて、ちょっとお気づきになりましたか?
「長屋」・「マンション」
時代こそ違え、同じ集合住宅です。
昔から様々な問題を抱えていたのでしょう。

初版の本の帯には「百田尚樹が驚いた!この小説はオモロすぎる」とありましたが、最近の帯には「これは・・・ 平成のおけら長屋だ!」とあります。
その通りでございます。
0002.スプラッシュマンション2

畠山氏は数々の演芸関係の賞を取り、多くの著書には落語・下町・お笑い・グルメと言ったファクターがちりばめられています。
もし初めて畠山氏の作品をお読みになる方がいらっしゃったら、文章の表面だけ見てしまうことでしょう。
少しだけ文脈の裏も見ていただけると、その奥深さがお分かりになると思います。

この小説、作者「畠山健二」を知ってから読むと、また味わいが違うことでしょう。

是非とも映画化してほしい1作です。

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