百人一首で愛でる平安の紅葉 ちはやふる

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百人一首で愛でる平安の紅葉 ちはやふる

紅葉道(もみじみち)を歩くと誰もが詩人になるでしょう。
なぜか遠い時代に思いを馳せるといつもと違う自分になります。

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

0002.ちはやふる2
百人一首に出てくる藤原業平朝臣の和歌ですね。
ところは奈良は斑鳩の里。
古くから紅葉の名所として有名な竜田川を、詠んだものです。
ただし皇太子妃藤原高子の御殿での歌会で屏風に描かれた竜田川の紅葉ですが。

紅葉で有名な竜田川が、紅葉の葉が鮮やかな紅色に川の水をくくり染めしているとは、荒々しく不思議なことが多かった神が世の中を納めていた時代にも聞いたことがない。

0002.ちはやふる5
紅葉の見事さを、「紅葉が川の水をくくり染め(絞り染め)している」と表現するところは、なるほど稀代のプレイボーイたる所以でしょう。
藤原業平は、平安朝随一の色好み。光源氏のモデルともいわれており、「好色」「色男」などという形容詞が付いて回ります。

しかし、です。
ここで言う、「好色男」は、単に「次から次へと女性をたぶらかして遊ぶ男」ではないのでしょう。
知性と教養を兼ね備え、感性豊かな男性として、堂々と素敵な女性と恋をする。
恋愛遍歴を重ねるものの、その時は相手の女性だけを全力で身も心も捧げる男でございましょう。

そこにこそ藤原業平がスーパースターである背景があるのですね。

しかし、なぜこの歌会でこの歌を詠んだのでしょう。
当時、藤原高子との熱烈な恋愛関係を念頭に置いて鑑賞すれば、答えは自ずとお判りでしょう。
男は好きな女性の前では、とてつもない詩人になれるもの。
そんな業平に対する憧れが、「伊勢物語」の主人公に仕立て上げたのでございましょう。
0002.ちはやふる4

「ちはやふる」は有名な古典落語の演目にもございます。
こちらは八五郎がこの歌の意味を聞かれ、ご隠居に尋ねると、江戸時代、人気大関の「竜田川」が吉原へ遊びに行った際、「千早」という花魁に一目ぼれした、などと知ったかぶりもいいところの珍解釈。
その顛末は本題とは程遠いものですね。

さて、歳を重ね少し枯れてきたわたくし達も素敵な方を前にして、平安の貴族業平ならぬ平成の貴族になってみようではありませんか。
ただし気を付けましょうね。知性と教養がなければ長屋の八五郎になってしまいますから。
0002.ちはやふる6

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