ちあきなおみ 喝采 

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ちあきなおみ 喝采 スポットライトを背に浴びて今日も歌う恋の歌

冠婚葬祭と言う言葉があります。
「冠」「婚」「祭」はいつの時代も「歌」のテーマになります。
ここに異質の「葬」をテーマにした曲。

  いつものように幕が開き 恋の歌うたう私に 届いた知らせは 黒いふちどりがありました・・・

作曲家の中村泰士は、この「黒いふちどり」のフレーズに難色を示し、作詞家の吉田旺に登場人物は殺すなと言ったそうですが、吉田旺も一歩も引かない。
しかし、その意地の張り合いが「ドラマチック歌謡」を確立させたのでした。
中村も負けじと、「葬」の暗さ一辺倒のイメージを大きなスケールで圧倒します。
讃美歌の『アメージング・グレイス』のようなメロディをして、見事にその「葬」の詩をも上回る曲を完成させたのです。

1972年の賞取りレースは前評判では独走レースと言われておりました。
「婚」をテーマにした小柳ルミ子の『瀬戸の花嫁』。
小柳ルミ子がデビュー以来恩師の作曲家・平尾昌晃渾身の一作です。
以前平尾が「お嫁にはいつ行くの?」
と小柳ルミ子に尋ねたところ、こう返されました。

「私はお嫁には行きません。一生歌手でいます」

ずっとかわいがっていたルミ子の子の一言で、平尾昌晃のある考えが浮かびます。

「そうだ、そんなに真剣に歌のことを考えてくれているのなら、せめて歌の中でお嫁入りさせてあげよう」

依頼を受けた作詞家の山上路夫は二つの作品を書く。
『峠の花嫁』と『瀬戸の夕焼け』です。
しかしどうもしっくりこなくて悩んでいたところ、このふたつを合体させよう、と意見が合い、『瀬戸の花嫁』が誕生しました。
そんな力作が4月に発売され、売り上げはどんどん上がっていきます。
それに比して9月発売の『喝采』は時間的に分が悪く、9月発売の曲が受賞するするなど前例のないことでした。

日本レコード大賞の前哨戦ともいわれる日本歌謡大賞も手中に収めていた『瀬戸の花嫁』は、同年の12月31日に日本レコード大賞の会場で緊張の面持ちでいました。

果たして司会の高橋圭三が読み上げた大賞曲は『喝采』でだったのです。

ちあきなおみの圧倒的な歌唱力、表現力にして、大方の予想をひっくり返しての受賞となりました。

いつ聞いても名曲でございます。
もちろん歌い手は『ちあきなおみ』でなくてはなりません。

特集:ちあきなおみをもう一度

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