ミスターロンリーの曲に乗せて城達也のナレーションで始まるジェットストリーム

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ミスターロンリーの曲に乗せて城達也のナレーションで始まる ジェットストリーム

ジェットストリームとはFM局全国ネットの音楽番組、
といった言葉では説明がつかないほどの素敵な番組です。
旅愁を感じさせる番組作りを目指して企画され、音楽と飛行機の旅を関連付けられたコンセプト故に、音楽の合間に入るナレーションは、「コックピットから機長が語りかけている」と言う設定が画期的でした。
司会やDJではなく、「機長」と呼ぶのがなるほどのネーミングです。

さて、この機長。
2009年からは大沢たかおが「搭乗」していますが、わたくし達の記憶に刷り込まれているのは、初代機長・城達也でございましょう。
1967年にFM東海で「フライト」(放送)が開始されて以来、1994年12月までの27年間、コックピットからアテンドして下さいました。
堀内茂男の散文詩的物語を、誰もが聞き惚れる落ち着いた低音の美声、安定した口調、また絶妙な間の取り方、まさにプロフェッショナルとしてのナレーションでございました。

日本人の海外旅行が夢だった時代に、遠い外国の季節毎の世界へ思いを馳せる貴重な番組として、曲の合間に入るセンスの良いナレーションは海外に行ってみたくなるような誘惑にかられたものでした。

初代機長・城 達也のこの番組への思いは強いものがあり、その徹底ぶりは大変なモノでした。

番組の収録の際は、旅客機の機長というコンセプトと役作りのために、実際の操縦士としての意識を持つように毎回スーツ姿でスタジオ入りし、夜間飛行という設定に対し、夜間の旅客機の暗いコックピットを再現するかの如くスタジオ内の照明を暗く落として収録に臨んだといわれます。
残念なことに晩年は食道がんを患い、治療を受けながら「JET STREAM ジェット・ストリーム」の収録も続けられましたが、「納得できる声が出せない」と1994年12月末をもって同番組から降板いたしました。

その時のエンディングのナレーションはいつもとは異なり、ご本人の思いがこもった最後のご挨拶にも聞こえました。

【最終回エンディング】

日本航空がお送りいたしました、ジェットストリーム
そろそろ、お別れの時間が近づいて参りました

皆さまのお相手は、わたくし、城達也でした
25年間、わたくしがご案内役を務めて参りましたジェットストリームは、今夜でお別れでございます
長い間本当に、ありがとうございました

またいつの日か、夢も遥かな空の旅でお会いいたしましょう
そして、来年(1995年)1月2日からは、装いも新たなジェットストリームが旅立ちます

夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは、遠ざかるにつれ次第に星の瞬きと区別がつかなくなります
お送りしておりますこの音楽が、美しくあなたの夢に溶け込んでゆきますように
では皆さま、さようなら
よいお年をお迎えください

このナレーションを残し、翌年2月25日、享年63歳でこの世を去ったのでございました。

お亡くなりになってもなお、いつまでも心に残る「フライトアテンド」でございます。

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