伊東四朗 知られざるまじめな一面
- 2016/5/19
- 伊東四朗劇場
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伊東四朗 知られざるまじめな一面
四朗ちゃん、お笑いを演ってきたり、結構ハチャメチャ続きだったけど、根底にあるものはきちっとしてるわよ。
やっぱり場数を踏んで、いろいろな人との出会いがあって、肌で感じてきたみたい。
まず、忘れられないのは、「井原高忠」さんでしょうね。
四朗ちゃんはこう言ってるの。
鉄は熱いうちに打てって言うけれど、私はほんとに二十代の終わりのまだ熱いうちにカンカン打ってもらましたからね。
『九ちゃん!』っていう番組で、とことんシゴかれましたよ。
例えば、番組の中で歌を歌う場面があると、ほんのちょっとの歌でも、きちんと歌えるまで帰してくれないんですよ。リハーサルでも。
少しぐらい歌がうまくっても「結構やるじゃないか」なんて、今の業界みたいには言いません。
今でも忘れられないすごいコメントをいただいたことがあります。
「コメディアンというものは、歌い手よりも歌がうまいものなのですよ。伊東様。」
台本の裏にいつの間にか書いていたんですよ。
今の業界は、ちょっとおもしろい人であれば、昨日素人でも今日からギャラを貰える。
徹底的に打たれてプロになった訳じゃないから、その素材が枯れてくると捨てられるわけです。
私はそれを高めてこれたので、何とかやってこれました。
井原さんは時間にも厳しい人でした。
リハーサルにでも、1分でも遅刻したら「あなたはいりません」ってクビになっちゃう。
いい加減な姿勢で来る人にもまた、厳しかったです。
クビにするばかりか「そうやって、そこで生涯ダレてろ」って。
今でも私が若い人たちに言うことがあります。
「ダレてやるなよ。誰が見ているかわからないんだから」
四朗ちゃん、ずーっとダレずにやってこられたから、いろんな役のオファーが絶えなかったみたい。
てんぷくトリオでお笑いコントをやっているときにNHKの大河ドラマの役の依頼が来たときも。ベンジャミン伊東の名前で『電線音頭』をやっているときでも、第一次大戦中の捕虜収容所で実際にあったドラマの語り部の役とか依頼が来るのも、その時に「ダレずに」やっていたからなんでしょうね。
見る人は見てたってこと。
四朗ちゃん、ひとつこだわりを持っているのね。
面白い、笑いはいいね、っていう喜劇。評価が低いけど、笑いが一番難しい。
ちょっとでもセリフのタイミングがズレたら、お客さんは笑わないって。
舞台でやっていると、そのシビアな答えがその場で返ってくるわけ。
まじめな芝居は少しぐらいズレ様が、喜劇と違ってそんなに気にならないのね。
笑いはタイミング。同じことを言っても、「間」がずれるとまるっきり違っちゃうの。
じゃぁ、「間」ってなあにって、四朗ちゃんに聞いたことがあってさ。
そしたら四朗ちゃん、名言はいたの。
「実はこれはお客さんの”間”なんです。お客さんが役者の言うセリフを聞いて、頭の中で咀嚼して、ああそうかってわかってから次のことを言わないといけないんだよ。」
なるほどね。
テンポとは違うのね。テンポは単に畳みかけてしまいがちだし、それは役者が作る「間」なんでしょうね。
そうじゃなくて、お客さんが納得する「間」。
これが喜劇の舞台では大事なの。ココがね、難しいところなのよ。
お客さんによってその「間」が違うから、毎日変わるわけ。
舞台があるホールによっても違うし、お客さんの層によっても違うって。
その舞台が始まってすぐに、その日の舞台の「間」を感じることが必要なのね。
来ているお客さんに合わせないと、お客さんを見下すことになるわけよ。
だから「お客様は神様です」って言うんでしょうね。
四朗ちゃん、いろんな肩書があるわね。
俳優
タレント
司会者
コメディアン
これからも『間』を大切にして頑張ってほしいわ。
四朗ちゃんのこと、無口な本人に代わっていろいろお話してきたけど、少しわかった?
で、本人これだけは言ってほしいことがあるって。
「伊東四朗は喜劇役者」
ですって。
特集:伊東四朗劇場
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