酒の味を決める5つの要素
- 2015/5/10
- 日本酒
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酒の味を決める5つの要素
旨い酒は何が違う?
日本には大小1600にも及ぶ酒蔵が存在しています。
その蔵で作られる日本酒は3万種を超えるとも言われており、産業としてのみではなく歴史ある文化としての側面も、忘れてはならない部分でしょう。
品種、系統、製造法、人の想い。
様々な要素が構成して、” 酒 ” という物が出来あがっている事を知って行くことで、今までとは一味違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか?
お酒を嗜む者。お酒を造る者。
双方の想いが重なる1種(一酒とも呼べますね。)と出会う。
是非、あなたの「一酒」との出会いがあれば幸いです。
酒の味を決める5つの要素
①酒米
原料でもあり、酒の味の元となる要素は酒米です。
酒米は、酒造好適米と呼ばれ、お酒造りに適したお米と呼ばれています。
山田錦、美山錦、雄町、 などなど、聞いた事もあれば初めて耳にする言葉もあるでしょうが、私達が日頃口にしているコシヒカリやササニシキとは初めから用途が違うのが酒米です。
最初からお酒になる為に作られたお米。
それが酒米と呼ばれるモノでしょう。
②酵母
お米の持つ糖分をアルコールに変えお酒の性質が決まると言われています。
酵母は菌の一種であり日本酒の味と香りを決定する、大きな役割を持っています。
明治時代以前は、各酒蔵に代々伝わる酵母を取り込んでお酒を造っていた為、同じ酒米と同じ製法を用いても、酵母の質が異なる事で、酒の味が安定しなかった。と言われています。
醸造学が進んだ近年は、酵母の培養技術、保存技術の向上により、酒の味が大幅に向上し、質も安定したと言われています。
香りの良い、フルーティーな日本酒が生まれたきっかけは、日本醸造協会が頒布した酵母の力によるところが大きいと言って良いでしょう。
③アルコール添加
味の調和を図る工程が、アルコール添加であり、全ての日本酒に対して行われる工程ではない事が特徴です。
酒母、麹、蒸し米、水を混ぜたモノを醪(もろみ)といいます。
醪は白く濁り、粘着度の高い液体となっており、この発酵を促し、アルコール生成をさせる工程を「仕込み」といいます。
日本酒の仕込みは3段階に分かれており、それぞれ、「初添」 「仲添」 「留添」と表現され、蔵人は醪の泡立ちの状態や発酵の進展を観察しているのです。
「留添」を終えて搾りを作業をする前に、醸造用アルコールを入れる場合があります。
この工程が「アルコール添加」と呼ばれるモノであり、アルコール添加をしない酒が純米酒と呼ばれるようになります。
お酒のラベルに 純米酒 と明記されたいた場合、「 あ、このお酒はアルコール添加をしてないんだ。」 と理解すれば良いのです。
実は、このアルコール添加は、江戸時代からの技法であり、アルコール添加をする事で、醸造時の不要な糖や酸が溶けスッキリとした味に仕上がります。
味や香りの変化を図る工程であり、「一味を加える」工程と解釈するとまたお酒に対する深みが増しますね。
④濾過
雑味を取り除く作業であり、無濾過は味が乗る。と言われています。
醪は様々な形状の上槽機(じょうそうき)で搾られ、酒と酒粕に分けられます。
搾りたての酒には、濁り成分が残っているので、しばらくの間タンクの中で眠らせ、滓(おり)を沈殿させ、その後、上澄みだけを濾過する。
1980年代は活性炭や濾過紙フィルターなどで、酒を濾過し、雑味を取り除いてから仕上げるのが酒の重層的な味わいを表現する蔵が増えてきています。
お店で日本酒を注いでもらう際、一度、瓶を逆さまにする行為を見ますが、無濾過のお酒であれば、この行為は非常に納得の行くモノです。
⑤火入れ
濾過をした酒は、低音加熱を施し殺菌をします。
加熱をする事で、酒質を安定させる。
この行為を火入れと言います。
火入れをしない場合、酒の中の乳酸菌や酵素が酒を劣化させ、嫌な臭いを発生させてしまう場合がある為です。
実は、この火入れという技術は、室町時代に書かれた文献にも載っていて、フランスの細菌学者パスツールがワイン製造で加熱殺菌を行う500年も前に、日本では火入れで殺菌を行ってきた。
という歴史もあります。
蔵人の経験がそうさせたのか?
日本人独特の気質がそうさせたのか?
真意は定かではありませんが、そう考えるとお酒に対するロマンもより一層深まるモノですね。
さて、この5つの工程ですが、お酒のラベルをみる事で、様々な事が解ります。
原材料名、精米歩合と酒米、醸造方法 などなど、一口嗜んだ後、ラベルを眺めてみると、酒米が酒蔵でどのような成長・進化を経て私達の口に入っているのか?
そんなストーリーを思い浮かべながら、二口目を嗜む。
「歴史」と「文化」と「進化」と「想い」が織り成して、今在る。
知る事で一味上乗せされた、お酒の楽しみ方が出来るかもしれませんね。
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