ワインの産地 銘柄に潜む意味
- 2016/7/6
- ワインの教科書
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ワインの産地 銘柄に潜む意味
ワインの名前はいろいろありますが、『ドン・ペリニヨン』『ロマネ・コンティ』あるいは「『ボージョレ』が解禁しました」など耳にしますよね。
ワインの名前なので、ブランド名かと思うと、必ずしもそうではありません。
産地の名前であったり、ブドウの品種であったりするばあもあるのです。
『ブドウの品種名の銘柄』
ヨーロッパではあまり見かけませんが、それ以外の国、特にアメリカワインにはこのタイプの銘柄が多く見られます。
■赤ワインのブドウ品種
○カベルネ・ソーヴィニョン
○ピノ・ノワール
○メルロー
■白ワインのブドウ品種
○シャルドネ
○リースリング
○シーヴィニョン・ブラン
『醸造元の名前の銘柄』
シャトーの名やメーカー名など、醸造元の名前が銘柄になっているケースです。
ちなみにシャトーはひとつの畑を所有していますが、ドメーヌは大きな畑を複数のドメーヌが分割所有しているので、同じ銘柄でもドメーヌの数だけあることになります。
■フランス・ボルドー地方(シャトー)
○シャトー・マルゴー
○シャトー・ラフィット・ロートシルト
■フランス・ブルゴーニュ地方(ドメーヌ)
○クロ・ド・ヴージョ
○ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(ここは単独所有)
『ブランド名の銘柄』
■ドン・ペリニヨン
シャンパンの開発者の名前です。ドン・ペリニヨンはシャンパンの代表的銘柄ですね。
『産地名の銘柄』
ヨーロッパのワインは特に生産地や畑の名前を銘柄にします。
ブドウは世界各地で栽培されていますが、良質なワインが作られるブドウとなると、条件が限られます。
美味しいワインを造る要素は4つあります。 「ぶどう(品種)」「畑(土壌)」「気候」「人」ですね。
これらの条件が整った地域が「ワイン産地」として発展してきました。
シャブリ、ボージョレなど耳慣れた銘柄もあるかと思いますが、改めて世界中の主な産地と特徴をご紹介しましょう。
■フランス
世界の約20%の生産量を占め、品質の面でも世界をリードするワイン大国。
ワイン=フランスのイメージですが、実は意外なことにワインの生産量はイタリアに次いで2位なんですね。
また、フランスワインは他の国のワインと比べて、味わいが繊細で複雑なものが多く、地方によってその個性がはっきりしているのが特徴で、ワインビギナーには素直に美味しいと感じにいくワインも多くあるのももうひとつの特徴です。
【ボルドー】
場所は、フランス南西部にあるスペインに隣接しているアキテーヌ地域圏、ジロンド県一帯の地域です。
ボルドーと言えば赤ワイン。ボルドーのワインは『ワインの女王』と呼ばれ、キメの細かさ、しっとりとした味が特徴です。
複数の葡萄を組み合わせてワインを生産することが多いです。
ボルドーのおススメワインはこちら
【ブルゴーニュ】
場所は、フランス中部のブルゴーニュ地域圏、コート=ドール県が地域となります。
ブルゴーニュは複数のブドウをブレンドするボルドーとは異なり、単独のブドウでワインを作ります。
原料のブドウ品種は、赤は「ピノ・ノワール」、白は「シャルドネ」がメインです。
また、ブルゴーニュは小規模の農園が多く、ワイン名も所有者ではなく、醸造元のブドウ園の土地による銘柄が多いです。
皆さんご存知の「ロマネ・コンティ」はブルゴーニュの代表的ワインです。
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【シャンパーニュ】
場所は、フランス北東部のパリ盆地の東側に位置する、シャンパーニュ=アルデンヌ地域圏の一帯が地域です。
ブドウの生産地としては緯度が高めですが、気候が温暖なため生産が可能となっています。
シャンパーニュと言えば、なんと言っても地域名を冠にした「シャンパン」ですね。
シャンパーニュ地方で収穫されたブドウのみを使用し、瓶内で二次発酵を行い、15ヶ月以上瓶内で熟成された物のみを指します。
正式名称は「シャンパーニュ」と定められています。
「ドン・ペリニヨン」はシャンパンを発明した修道士の名前です。
シャンパーニュのおススメワインはこちら
■イタリア
イタリアは世界一のワインの生産量と消費量を誇ります。
温暖な気候地中海性のに恵まれていて、イタリア全ての州でワインが作られており、
地中海性のそれぞれ特徴あるワイン作りが行われています。
千差万別個性のある高級なワインが生産され、味の特徴は一概には言えませんが、比較的果実味や甘みが強く、ちょっと渋みがあるといったものが多いです。
【トスカーナ州】
イタリア中部で最も有名な生産地です。
州都は芸術の街「フィレンツ」で、ルネッサンス期に興隆した「シエナ」、「ピサ」など、イタリアきっての文化的な地域です。
ブドウの栽培に適した温暖な気候の土地が広がっており、日本人にも人気の「キャンティー」などが生産されます。
この地方全体としては、生産量のうち約85%が赤ワインで、辛口の赤ワインが多く生産されてます。
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【ピエモンテ州】
フランスと隣接した州で、イタリア北西部で最も重要な生産地です。
州都はトリノ。冬季五輪も開催された地です。自動車会社のフィアットの本社も擁し、セリエAにて現在3連覇中の”ユベントスFC”の本拠地でもあります。
フランスに隣接してるので、食文化はフランスから影響を受けています。
トスカーナ地方で著名なワインは「スーペル トスカーナ」というもので、これはワインに関する法律をあえて無視した製法で純粋に美味いワインを作ります。
なので法律上の格付けは最下層になるものがありますが、本当に美味しいので爆発的な人気を誇ります。
ネッビオーロ種から作る「バローロ」や「バルバレスコ」などの高級赤ワインの産地として知られています。
ピエモンテのおススメワインはこちら
■スペイン
スペインはフランス、イタリアに次ぐ世界第3位の生産国です。地中海性気候に属し、ブドウの栽培に適した土地柄です。
スペインのイメージカラーは情熱の赤と言われるだけあって、やはり赤ワインが多く生産されています。
イタリア同様気軽に飲めるリーズナブルなワインが多いのですが、
最近は量よりも質を重視したスーパースパニッシュと呼ばれる高級品が登場し始めました。
スペインのワインで忘れてはいけないのがシェリーで、シェリーはアンダルシア地方で造れらる酒精強化ワインです。
シェリーと共にスペインのワイン文化は発展してきました。
【リオハ】
スペインを代表するワインの生産地で、場所は、スペインの北東部のラ・リオハ州のエブロ川流域に広がる一帯を指します。
気候は年間を通して比較的に雨に恵まれ、夏の厳しい暑さも、冬も厳しい寒さもなく、比較的穏やかな気候です。
その自然の恵みにより、甘みも酸味もあるバランスの良いブドウが取れます。
地域全体の生産の75%以上は赤ワインであり、長期熟成されたものや高品質のものなどが揃います。
味わいは、キメ細かい口当たりと、樽の香りにありますね。
【ペネデス】
スペインの北東部、カタルーニャ州(州都はバルセロナ)のエブロ川の河口エリアに広がる一帯が生産地です。
伝統的に、シャンパンと同じ製法、瓶内二次発酵方式で作られるスパークリングワイン「CAVA(カヴァ)」の主要生産地です。
「赤のリオハ」に対して「白のペネデス」と呼ばれています。
【アンダルシア地方】
スペインの南部、アンダルシア州中央部に位置する生産地です。
有名なのはへレス・デ・ラ・フロンテラ」周辺で作られる酒精強化された「シェリー」があります。
これはワインの製造過程でブランデーを添加し、熟成させることによってアルコール濃度を上げて、保存性を高めたワインです。
スペインのおススメワインはこちら
■ポルトガル
イベリア半島の西側、地中海性気候で、夏は高温で昼夜の寒暖差も大きく良質なブドウが栽培されます。
酒精強化された「ポートワイン」、「マデイラ」が有名でが、スペインとの国境にあるヴィーニョ・ヴェルデのスティルワインなども知られています。
【ドウロ川】
場所は、スペインのデュエロ河から続くポルトガル北部に流れる川沿いの一帯です。
辛口の白ワインや、酒精強化された「ポートワイン」が生産されます。
「ポートワイン」とは、発酵の途中でブランデーを加える事によって発酵を途中で止めた甘口のワインです。
【マデイラ諸島】
リスボンの南西1,000kmの大西洋に浮かぶマデイラ諸島でもワインの生産があります。
その地名を取った「マデイラ」は「ポートワイン」、スペインの「シェリー」とともに世界三大酒精強化ワインと呼ばれており、食前酒や食後酒に使われます。
ポルトガルのおススメワインはこちら
■ドイツ
ドイツは比較的冷涼な気候のため、フランスに接する南部地域が葡萄栽培の北限とされています。
気候柄、寒さに強い独自の交配品種の開発も多く行われてきました。
生産されるワインのほとんどは甘口でフルーティーな白ワインです。
果実味溢れる甘口が主流ですが、近年辛口ワインも生産がされてきています。
最近の世界的なリースリング人気が高まり、リースリングへの回帰が進み、現在ドイツは世界最大のリースリング産地となっています。
他のエリアと違い、ずっと「量より質」を追い求めていたのでどのワインもハズレが少ないです。
産地銘柄としては、モーゼル、ラインガウがドイツを代表する生産地です。
ドイツのおススメワインはこちら
■アメリカ
長い歴史と伝統を持つヨーロッパに対して、アメリカはいわゆる新世界「ニューワールド」と呼ばれています。
比較的歴史が新しいためかアメリカはワインのイメージはあまりないと思われがちですが、意外やアメリカは世界第4位のワイン生産国なのです。
その生産量の90%をカリフォルニア州が占めています。
カリフォルニアの中でもソノマ・バレーとナパ・ヴァレーには有名なワイナリーが多く、フランスのボルドーを意識したヨーロッパの高級品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネなどを栽培し、高級ワインが作られています。
アメリカのおススメワインはこちら
■チリ
日本での輸入量3位になったチリですが、フランスを代表とする伝統国と比べ、新世界のチリのワイン造りの歴史は長くありません。
それには複数の要因があり、まず、ブドウ栽培にとって理想的な気候、ふたつめは人件費や土地代が他のワイン産地よりも低く抑えられるため、ヨーロッパの伝統国からの海外投資が盛んに行われていることです。
チリワインの特徴といえば、品種の特徴がとれたバランスです。
また、チリと言えば、やはりカベルネ・ソービニョンでしょうか、通称「チリカベ」と言われており、チリで造られる赤ワイン用品種の45%強を占めています。
フランスボルドー地方でも有名なカベルネ・ソービニョン種は、味わい深いタンニンとふくよかな果実の味わいがあり、しっかりとしたワインであるため、長期熟成型に向いています。
柔らかい口当たりの赤、辛口の白は近年日本でも人気です。
チリのおススメワインはこちら
■アルゼンチン
アルゼンチンのワインの歴史は、1551年スペインの植民地政策によって、 持ち込まれました。
また、19世紀中頃にヨーロッパからの移民によって、新しいブドウの栽培技術や様々な品種がもたらされて始まりました。
アルゼンチンは、アンデス山脈を挟んで、チリの主産地に向かい合うように広がっており、今やワイナリー数は1,300個と世界5位の生産量を誇るワイン大国です。
赤ワインはマルベック、カベルネ・ソーヴィニョン、ボナルダ、シラー。
白ワインはシャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、と今注目の固有品種トロンテスがあります。
アルゼンチンのおススメワインはこちら
■オーストラリア
オーストラリアもアメリカ同様に新世界「ニューワールド」と呼ばれるワインの新興国です。
オーストラリアは広大な大地を有していますが、内陸部は極端に乾燥した地域のためブドウ栽培ができないため、比較的冷涼な地域である西海岸から南、南東側に生産地が分布しています。
恵まれた天候と自然条件のもと、安定的に良質なブドウが収穫できるため、近年は生産量が増加し、品質面の評価が高くなっています。
現在ではワイン生産量は世界第6位となり主要産業としての地位を確立しています。
「シラーズ」というブドウ品種が有名で、スパイシーな美味しいワインが造られています。
オーストラリアのおススメワインはこちら
■日本
日本のワイン生産は明治期にスタートしました。
国産ワインの発祥地である山梨をはじめ、北海道、山形、長野など各地で上質なワインが生産され、国際的な評価も高まっています。
2010年「甲州」がEUで日本産ぶどうに登録認定され、続いて「マスカット・ベリーA」もワイン用ぶどう品種として登録認定されました。
今海外でもブームになってる「和食」に合うワインとしても、人気急上昇中です。
日本のおススメワインはこちら
さて、様々な産地をご紹介しましたが、読んだだけではわかりませんよね。
一度飲んでみると、ココに書いてあることが「なるほど」とうなずけると思います。
まずは興味のある1本から試してみてはいかがでしょうか?
特集:ワインの教科書
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